-どんな天気でも晴れやかな心になってほしい

 

それをテーマに、てるてる坊主のてるる店長は、レイングッズと防災グッズの通販店「テルルヤ」を運営しています。

 

いろんな壁を乗り越えて、なんとかネットショップを立ち上げた、てるる店長。

自店サイトも発展させながら、ECモールの『Amazon』に出店を決めました。

そこで、ついに初めての注文を受け、喜びに明け暮れるのも束の間、事が起きてしまいました。

なんと注文にあった届け先はどうやら嘘の住所で、商品が戻ってきてしまったのです。

続けざまに誰かから『保留注文』をされまくり、商品を取り置き状態にされ、販売することができなくされました。さらに、いわれの無い最低評価と悪評のコメントの嵐。

てるる店長の心は、どんよりと曇ってしまいました。




 

 

「とにかく、ちゅうもんをキャンセルしなきゃ……。」

 

どんな目にあっても、購入者から支払いを受けていることには変わりません。

商品を渡していないのにお金だけもらってしまっては、こちらが詐欺となってしまう可能性があります。まずは速やかにキャンセル処理をして、適正に対処することが大事だと、てるる店長は考えました。

 

そこで参考にしたのは『Amazonセラーフォーラム』です。

Amazonほどの巨大ECモールともなると、日々いろんなことが起こっています。そこで、出品者同士で質問をし合い、解決法を探ろうという場所がAmazonセラーフォーラムです。

たくさんの事例があるので、自分で似たような事例を調べれば、対処法が分かるという仕組みになっています。

てるる店長は、住所不定の購入者への返金処理の方法を調べました。

 

やはり、こういった『いたずら注文』というのは、少なからず存在するようでした。

そして、一つの方法を見つけました。

それは、自分で負担した配送料を差し引いて返金する、というものでした。

 

Amazonではどの地域に送っても配送料は一律でいただいています。しかしそれは、実際にかかる配送料と同額ではありません。

テルルヤが存在している東京都から遠い地域、例えば北海道や沖縄県だと、いただいている配送料と実際にかかる配送料に、かなりの差額が発生してしまいます。足りない分の配送料は自分で負担しなくてはなりません。

これは、その負担分くらいは、いただこうという方法でした。

 

てるる店長は、この方法を採用することに決め、3件のお客様に、早速返金処理をしました。

その際、コメントがつけられるので、住所不定で商品が戻ってきてしまったこと、配送手数料としてテルルヤが負担した料金は差し引かせてもらったことを明記しました。

 

「こういうことは、したくないな……」

 

返金処理は、てるる店長にとって、きついものでした。あんなにうれしかった初めての注文が、嘘だったわけですから。

しかし、へこんでるわけにはいきません。

なにせまだ、Amazon上のテルルヤのページには最低評価と悪口のコメントが残っています。これをなんとかしない限り、テルルヤが出品する商品が売れることは、おそらくありません。評価が最悪の所からは誰も買いたくないからです。

 

「はあぁぁ……」

 

ため息が、とまりませんでした。

それでも、てるる店長はなんとかしようと、なんとか本当のお客様に晴れやかさを届けようと、パソコンの前に座り続けます。

 



 

評価コメントについて調べたところ、削除の方法はありました。

コメントを書いた本人に削除してもらう方法と、Amazonに依頼して削除してもらう方法でした。

今回の場合、とても書いた本人が削除してくれるとは思えません。

てるる店長は、Amazonに削除依頼をしました。

返信は長く待たされるかと思いましたが、意外と早く返ってきました。

削除依頼を出した5件のコメントのうち4件を削除してもらえました。Amazonの削除条件に照らし合わせたところ、そのような結果になったとのことでした。

残ったコメントは、一番最初にきた『最悪です!!』です。

テルルヤはまだ、他にお客様がいません。例え1件でも悪評価があると、それが全てになってしまいます。つまりこの時点で、100%の最低評価となるわけです。

てるる店長は、今回の経緯を全て説明し、もう一度Amazonに評価コメントの削除依頼を出しました。

結果、やはりAmazonの条件外であると、削除してもらえませんでした。

 

そして、その時でした。

最初の北海道のお客様から、メッセージがきたのです。
 

「商品はいつ届きますか?」

 

これには、こたえました。

てるる店長の全身に悲しみが突き抜けます。

嘘の住所を伝えておいて、よくこんなことがいえるなと思いました。しかも、返金処理はすでに済んでいるのです。

しかし、感情にまかせては、何も解決しません。てるる店長は、泣きたい気持ちをぐっとこらえ、できるだけ丁寧にメッセージに返信しました。内容は、返金処理の時に送ったのとほぼ同じことです。

次の日、この購入者から再びメッセージが届きました。

 

「全額返金しないで、詐欺かよ」

 

てるる店長の心が、ぽきっと折れた瞬間でした。

 

 

つづく