東京都立川市を本拠地として、てるてる坊主のてるるは活動しています。そのてるるが、ネットショップを始めました。レイングッズと防災用品を主に取り扱っているお店です。

 

-どんな天気でも、晴れやかな心になってほしい

 

てるるは、そのテーマをむねに、苦労に苦労を重ねながらテルルヤを運営していきます。

てるる店長は、なんとか商品を仕入れ、ホームページを公開することに成功しました。しかし立ち上げたてということもあり、テルルヤは『傘』などの重要なキーワードでGoogle検索にヒットしません。

検索されるまでの間、ECモールに申込むことに決めた、てるる店長。

『Amazon』との出会いが、そこにはありました。

 



 

『Amazon』はお店を出店するという形式ではなく、商品を一つずつ出品するという形式をとっています。そして出品方法には大口出品と小口出品という、2通りありました。

テルルヤはまだまだ規模が小さいので、てるる店長は小口出品を選びました。

小口出品は、一品売れるごとに100円の販売手数料、さらにカテゴリー成約料(商材によって金額がちがう)がかかります。そして、ここが重要なのですが、「既に出品されている商品しか出品できない」という制限があります。出品したい商品があっても、他の大口出品者が作った商品ページを探し出し(無ければその商品は出品できない)、そして小口出品者はそこを間借りさせてもらうしかないのです。

ホームページ上では、大口出品者が作ったページの端っこの方に、小口出品者のページがあるという作りになっています。正直、小口出品者のページは、気づかないお客様が多いのではないでしょうか。

 

「こぐちだと、かたみせまいんだなあ。でも、おおぐちが、ゆうぐうされるのは、あたりまえだよねー」

 

どこの世界も同じです。規模や流通量が多い方が目立つ仕組みになっています。Amazonからしたって、大口出品者の方が大事なのは当たり前です。

悔しかったら、自分も大口になるしかありません。

てるる店長は、近い将来に大口出品者になろうと、新たな目標をたてました。

 

小口出品者の申請を出し、ほどなく許可がでました。そしてテルルヤが在庫を抱えている商品をAmazonで探しました。

全ての商品があったわけではありませんが、いくつか見つけました。

 

「よし! じゅんちょう!」

 

ここまで、とてもうまくいきました。

『わからないことは調べる、そして実行する』てるる店長は、そのことに慣れてきていました。

自分のスキルが上がってきている実感もありました。こうなってくると、わからないことも楽しくなってきます。てるる店長は、上機嫌です。

 

小口出品者は、Amazonの仕様上、あまり目立たなくなっています。

それでも、なんとかするためには、やはり値段を安くするしかないと、てるる店長は考えました。

同じ商品を同じAmazonで売っているのですから、安い方が売れるのは当たり前だと思ったのです。

てるる店長は、出品した全ての商品を、最安値に設定しました。利益はかなり少なくなりますが、少しでもテルルヤを知ってもらえるチャンスです。なにせAmazonの知名度は圧倒的なわけですから。

 



 

一日後のことです。

あるレインコートに『保留注文』というチェックがつきました。

調べると、これは誰かが「まだ買うかどうか分からないけど、とりあえずキープしとくね」という意味でした。

 

「やった! うれしい! まだきまってないけど、みてくれたひとがいるんだ!」

 

てるる店長は大喜び!

レイングッズの通販を始めようとしてから、およそ1ヶ月、初めて反応をもらったのですから。

 

「くるかなあ! ちゅうもん、くるかもなあ!」

 

てるる店長はウキウキしながら待ちました。

その後、1通のメッセージが届きました。

なにやら中国語のメッセージでした。

てるる店長は、中国語が読めません。

テルルヤはAmazonで日本向けにしか販売していません。なので中国から注文が来るはずがないのですが……。

てるる店長は困りました。しかし、やりようもないので、間違いメッセージかもしれないと、とりあえず様子見することにしました。

ほどなくして、再びメッセージが届きました。また中国語です。

 

「???」

 

てるる店長は悩みました。

よくわからないけど、なにかを伝えようとしている。これは、テルルヤとしても、なんとかしてあげないといけないのではないか。

そこでてるる店長に名案が浮かびました。

 

「Googleけんさくすれば、いいんじゃないかな!」

 

中国語のメッセージをコピーして、そのままGoogle検索にかければ、翻訳ができることに気づいたのです。

早速てるる店長は検索にかけました。翻訳がでてきました。

『注文を削除してください』

どうやら、そう書いてあるようでした。

テルルヤに注文はまだありません。あるとしたら、保留注文だけです。

 

「そっかー。まちがえて、ほりゅうちゅうもんを、しちゃったんだなー」

 

てるる店長は保留注文が間違えだったことを、残念に思いました。せっかく、最初のお客様になるかもしれなかったのですから。

しかし、くよくよしていてもしかたありません。

この中国語のお客さんには、中国語ができないことを詫び、日本語で丁寧に返信しました。もちろん、保留注文も削除しました。

その次の日。またもや保留注文がきました。

 

「……え?」

 

そして中国語のメッセージ。

翻訳すると、同じく注文を削除してほしいとのこと。

てるる店長は怪しく思いながらも、前回同様、丁寧に対応しました。

そしてしばらくして、ついにその日が訪れたのです。

 

「あ! ちゅうもんきた! ほりゅうじゃないよ! ちゃんとちゅうもんがきたーーー!」

 

やりました! ついに、ついに、ついに注文が来ました!

レインコートが一つ、売れたのです!

てるる店長はめちゃくちゃ喜びました。てるるな事務局のてんちゃんにも伝え、本当に嬉しいとぴょんぴょん飛び跳ねて歓喜しました。

この日まで、てるる店長は本当に苦労しました。ネットショップの知識がほぼゼロの状態から、たくさんの壁にぶち当たり、それでもなんとかテルルヤをオープンしたのです。

 

-どんな天気の日も、晴れやかな心になってほしい

 

このテーマをむねに、全力を出してきました。そしてその成果が、やっと報われたのです。

てるる店長は、早くレインコートを届けようと、初めてのお客様のお届け先を見ました。

そこは北海道でした。

Amazonでは配送料が商品によって固定されています。ですので、テルルヤが所在している東京都から遠いと、配送料は赤字になってしまいます。本来、それを見越して商品価格を設定しなくてはなりません。しかしテルルヤは、最安値で商品を出品していましたから、北海道だと、配送料を自腹でかなり負担しなくてはなりませんでした。

 

「でも、いいや! うれしいし! はれやかさを、はじめて、とどけられるし!」

 

てるる店長は心をこめて梱包し、すぐにゆうパックで発送しました。

本当にうれしかった。

まさかこの時すでに、てるる店長の心を傷つける事が始まっていたとは知らずに……。

 

つづく